侵略的外来種に指定される以外な生物たち。
最近、よくテレビ番組で外来種の駆除を行っている様子を見かけますよね。カミツキガメやブラックバス、アメリカザリガニなどが有名ですが、これらの生物は日本にもともと生息する在来種の生態系に影響を与えることが懸念されるため、駆除・排除が必要とされています。
日本における侵略的外来種に指定されている生物の中には私たちがよく知る、あの愛玩動物も含まれています。ここでは「ちょっと意外な侵略的外来種」にスポットを当ててみましょう。
日本における侵略的外来種
<ノネコ(野猫)>
猫ブームの到来とも言われている今、驚きの声が聞こえてきそうですね。ネコ目ネコ科ネコ亜科ネコ属ヤマネコ亜種である現在のネコの原種はリビアヤマネコと考えられています。もともとネズミ駆除と愛玩が目的で日本にやってきたのがはじまりです。
その後、ペットとして飼われていたものが遺棄されて野生化し、繁殖したノネコは小動物や鳥を捕食。その生態系に影響を与えると言われています。具体的な例として挙げられるのが、沖縄に生息する、飛べない鳥であるヤンバルクイナや鹿児島県の徳之島に生息する特別天然記念物アマミノクロウサギなどへの被害。ノネコによる捕食によって絶滅の危機に瀕しているとも言われています。
「野良猫」とノネコの違いは人間の生活圏で生活しているかどうか。野良猫は人間からエサをもらったり、懐いたのち、イエネコになることもありますが、ノネコは人間の生活圏外で生息し、人間とかかわることがありません。
<アライグマ>
Twitterで「野生のアライグマを見かけた」とツイートを目にすることがありますが、アライグマはもともと日本に生息していた動物ではありません。
日本では愛知県犬山市の動物園からアライグマが脱走、ほとんどが捕獲されたものの、未回収となった2頭を岐阜県に住む人が捕獲。その後、動物業者から購入したアライグマと交配・繁殖させた数十頭を引越しのためにすべて放獣したのが元になって全国に野生化したアライグマが広がっていったと考えられています。
動物や植物への食害が懸念されているだけではなく、意外に気が荒いので人を襲うこともあるので要注意。また、海外ではアライグマが媒介するアライグマ回虫による人の死亡例も発生しています。万が一、見かけたら警察に連絡し、近づかないようにしてください。食べ物を与えるのもやめましょう。
<ヤギ>
1930年代に食用として持ち込まれたものが日本の離島に持ち込まれ野生化。森林の破壊や固有植物の食害が報告されています。現在でも小笠原諸島、奄美大島や徳之島、西表島、石垣島などで野生のヤギが生息。東京都の小笠原諸島では野生化したヤギが群れを成している様子も観察されました。その後、東京都が野生のヤギの排除を実施し、現在では、兄島、弟島などで根絶が確認されています。
海外における侵略的外来種
日本の在来種であっても海外では「侵略的外来種」として指定されているものもあります。
<ワカメ>
船が重しとして積む海水(バラスト水)の放出によって日本や朝鮮半島近海から世界中に広まったもの。日本や朝鮮半島以外ではワカメを食用としていないうえに、天敵が存在しないため増殖し続けることも。海外の海水浴場や漁場などで害藻とみなされています。
<コイ>
巨大なコイを見かけて驚いたことはありませんか?彼らは食欲が旺盛な雑食で汚染された水の中でも生きていくことができ、天敵もほとんどいません。北米の五大湖ではコイが大量に繁殖し、生物の生態系に影響を与えているとして問題になっています。
<クズ(葛)>
日本では葛もちや葛湯として食用されていますが、繁殖力が非常に強く爆発的に拡散することでも知られています。かつて庭園装飾用や飼料として持ち込まれたものが繁殖を続け、北アメリカでは害草として駆除の対象となっています。
<イタドリ>
日本では古くから生薬としても用いられていたイタドリ。山菜として食用されることもある多年草ですが、こちらも繁殖力が旺盛。種子が風に運ばれることでどんどん拡散していきます。アスファルトやコンクリートを突き破って生えてくるほどの生命力を持ち、イギリスでは在来種の生態系に影響を与えるとして駆除対象となっています。世界の侵略的外来種ワースト100にも指定されています。
侵略的外来種・まとめ
いかがでしたか?日本で問題視されている侵略的外来種と同じように、日本の動植物が海外で侵略的外来種として指定されているというのは意外ですよね。
ある土地には天敵がいて、生態系のバランスが取れていても別の場所には天敵がおらず、爆発的に繁殖し問題になる…ということは今回初めて知りました。同じ過ちを繰り返さないためにも、新しい動植物を持ち込むときには慎重にならないといけませんね。
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